バカリズムが原作・脚本・主演を務めるドラマ版『架空OL日記』のあらすじと、配信で一気見したくなる中毒的な魅力を、動画配信サービスをこよなく愛する筆者の視点でたっぷり語っていくよ。
ドラマ版『架空OL日記』ってどんな作品?
バカリズムの狂気的な観察眼が生んだ「嘘の日常」
このドラマ、元々はバカリズムがネット上で「架空のOL」になりきって書いていたブログが原作なんだよね。
まずその設定自体がちょっと狂ってるというか、シュールすぎるでしょ。
でも、ドラマを観始めると、そんな「男がOLを演じている」っていう設定なんて、開始5分でどうでもよくなってくるから不思議。
劇中の「私」ことバカリズムは、メイクもしていなけりゃ女装もしていない。
普通のバカリズム。
それなのに、制服を着てストッキングを履き、同僚の女子たちと「わかる〜」なんて言い合っている姿が、驚くほど自然にOLとして成立している。
この違和感のなさは、バカリズムの徹底的な女性観察の賜物なんだろうな、と感心しちゃうわけ。
脚本と演出が作り出す「圧倒的なリアル感」
監督は住田崇が務めていて、映像のトーンがすごく落ち着いているのも特徴の一つ。
いわゆる「テレビドラマ特有のギラギラ感」が一切なくて、淡々と日常が流れていく感じ。
これが、配信で垂れ流しにするのに最高にちょうどいいんだよね。
ドラマを彩る音楽も秀逸。
Kan Sanoのアンニュイな劇伴が流れると、退屈なはずの通勤路や更衣室が、
なんだか愛おしい空間に見えてくるから不思議なものだよね。
この「何気ない日常の肯定」こそが、この作品の核にあるんじゃないかな。
驚くほど「何も起きない」あらすじと舞台設定
メインステージは更衣室と通勤電車
普通のドラマなら、恋愛事件とか社内の派閥争いとか、大きな展開が欲しくなるところ。
でも、『架空OL日記』にはそんなものは一切出てこない。
あらすじを説明しようとしても、「更衣室のヒーターが壊れて寒かった話」とか「会社の給湯室の茶葉の補充について」とか、そんなことしか言えないんだよね。
でも、その「何もなさ」がたまらなく面白い。
朝の満員電車で変な男を見かけた話とか、仕事帰りにコンビニで新作スイーツを物色する話とか。
私たちが日常で一番多く口にしているけれど、誰かにわざわざ報告するほどでもない「些細な出来事」だけで、全話が構成されているんだ。
銀行という閉鎖空間で繰り広げられる「あるある」
舞台は某銀行の支店。
銀行員という、一見お堅くてルールに厳しそうな仕事を選んでいるのが、また絶妙なスパイスになっている。
制服という「檻」の中にいる彼女たちが、更衣室のドアを閉めた瞬間に解き放たれるあの解放感。
これは、オフィスワークを経験したことがある人なら、性別を問わず共感できるはず。
上司のちょっとした言い草にムカついたり、同僚の細かい癖が気になったり。
大きな事件は起きないけれど、彼女たちの心の中では、毎日小さな「嵐」や「祭り」が起きている。
その内面を覗き見しているような感覚が、このドラマの醍醐味なんだよね。
ちなみに銀行員の設定は、バカリズムの元カノからの情報らしい。
キャラクターたちの絶妙な距離感と関係性
真紀ちゃんのキレ味鋭いツッコミと信頼感
私が一番好きなキャラクターは、夏帆が演じる真紀ちゃん。
バカリズム演じる「私」の親友ポジションなんだけど、この二人の距離感が本当にリアル。
お互い気を使いすぎず、でも深いところで信頼し合っている感じが、会話のテンポから伝わってくるんだよね。
真紀ちゃんは、仕事もできるしズバッと正論を言うタイプ。
更衣室で誰かが理不尽な目に遭っていると、さりげなく、でも鋭く援護射撃をしてくれる。
あんな友達が職場に一人いたら、どんなに嫌な仕事も乗り越えられるだろうな、って本気で羨ましくなっちゃう。
小峰様のカリスマ性とサエちゃんの天然っぷり
臼田あさ美が演じる「小峰様」こと小峰智子。
頼りがいがあって、ちょっとサバサバした姉御肌の彼女は、グループの精神的支柱だよね。
彼女が放つ一言には説得力があって、なんだかんだでみんな小峰様の意見に注目している。
一方で、たまに見せるプライベートの隙が可愛かったりもする。
そして、佐藤玲が演じる後輩のサエちゃん。
彼女の天然で、どこかズレた発言が、会話にいい感じの「抜け感」を作ってくれる。
真面目に会議している横で、サエちゃんが全然違うことを考えていたりする。
その空気感が、職場のギスギスした雰囲気を中和しているんだよね。
山田真歩演じる酒木さんの「細かすぎるこだわり」も含めて、この5人のバランスは神がかっていると思う。
後にこれらのメインキャラを演じた夏帆、臼田あさみ、佐藤玲、山田真歩は「バカリズムファミリー」として、バカリズム脚本の作品にたびたび出演することとなるのだ。
特に安藤サクラ主演の「ブラッシュアップライフ」では、彼女たちが様々な場面で登場しています。
なぜ配信で「一気見」したくなってしまうのか
1.5倍速では味わえない「間」の豊かさ
最近はタイパ重視で、ドラマを倍速で観る人も多いみたいだけど、『架空OL日記』だけは等倍で、なんならちょっとボーッとしながら観てほしい。
このドラマの真価は、セリフとセリフの間の「沈黙」や、無言でラーメンをすする音、ストッキングを履く時の摩擦音とか、そういう細かいディテールに宿っているから。
「え、今なんて言った?」って聞き返すほどでもない、小さな独り言。
それを丁寧に拾い上げているからこそ、観ている側も自分の日常を肯定されているような気分になれる。
効率を追い求める日常から離れて、この「無駄な時間」に浸ることこそが、究極の贅沢なんじゃないかな。
仕事の疲れをデトックスする「低圧」な世界観
ドラマを観終わった後、なんだか心が軽くなっている自分に気づくはず。
それは、劇中の彼女たちが、私たちの代わりに「どうでもいい不満」を言葉にして、笑いに変えてくれているからだと思う。
深刻な問題なんて一つも解決しないけれど、「まあ、明日も仕事だし、更衣室でパンでも食べるか」くらいの適当な気持ちになれるんだよね。
この「低圧」な感じが、夜中に一人で観るのにちょうどいい。
熱血な展開も、涙を誘う演出も、明日への強い決意もいらない。
ただ、明日も普通に目が覚めて、普通に出社して、誰かとくだらない話ができればそれでいいや、と思わせてくれる。
VODで配信されているからこそ、自分の好きなタイミングで、この「ゆるい連帯」に参加できるのは幸せなことだよね。
配信で観る時のちょっとした楽しみ方
映画版までセットで完走するのがおすすめ
ドラマ版を全話完走したら、そのまま勢いで映画版まで観るのが正解ルート。
映画版になっても、彼女たちの日常は相変わらず何も起きない。
でも、ドラマ版から積み重ねてきた彼女たちの関係性が、映画という大きなスクリーン(配信ならテレビ画面だけど)で観ると、なんだか特別なものに感じられてくるから不思議。
映画版での新キャラクターの登場や、ほんの少しだけ広がる彼女たちの世界。ドラマを全話観て、彼女たちの「身内」のような感覚になった後に観る映画は、また格別の味わいがあるんだよね。
ドラマで慣れ親しんだあの更衣室が出てくるだけで、「実家のような安心感」を覚えるはずだよ。
お気に入りの「あるあるシーン」を繰り返し観る
この作品、不思議と何度観ても飽きないんだ。
私は特に、更衣室のストーブを巡る攻防の回や、ジムに通い始めたものの結局行かなくなる回を何度もリピートしちゃう。
自分の過去の失敗や、めんどくさがりな性格を「私だけじゃないんだ」って肯定してくれる気がするから。
配信なら、お気に入りのエピソードだけをピンポイントで再生できるのもいいよね。
今日はちょっと疲れたから真紀ちゃんの毒舌を浴びたい、とか、サエちゃんの天然に癒やされたい、とか。
その日の気分に合わせて、彼女たちの輪に混ぜてもらう。
そんな使い方ができるのも、このドラマが長く愛されている理由だと思う。